CD「Harmony」ドイツ音楽雑誌 Klassik Heute レヴュー

15. 5月 2019

彼女のショパンCDはどこからみても好ましい:絶え間なく歌われる指のタッチ、高級感、繊細さ、そしてまた押し迫るエネルギーによって、彼女は詩情豊かで深い感情表現を最大限可能にしている。躍動感あるリズムで形成され、甘くなりすぎず、ふわふわしすぎず、無限の夢ごこちスローテンポで輪郭を失ったりしない。彼女の透明な明確さは、ショパンがバッハを愛し、賞賛していたことを思い出させる。

彼女はその「適切さ」を持ちあわせている:すなわち、しっくりくる節度のテンポの遅め方や加速、4つのマズルカではリズムを自由に扱う一方でつねにうまくコントロールし、ペダルを節度に賢く操作、そして5つのノクターンの中ではメロディーラインを受け持つ右手と”伴奏系”の左手を美しく織りこむ。

バラード第一番Op.23では物語詩的な感情横溢と、憧憬に没頭した様子が溢れ出ている。スケルツォ第一番op.20 での力強く噴きあがる乱流、そしてノクターン第20番嬰ハ短調では魅惑的-印象的な煌めきの花輪が輝き、その曲でこのCDは幕を閉じる。

録音技師のヴォルフガング・シーファーマイアー氏は、深くよく響くグランドピアノのバス音域を卓越に掬い取ることに成功し、聴き手に空想のコンサートホールの一列目に座っているような感覚を想い起こさせる。

2019年4月27日 Rainer W. Janka